【40年以上の愛】今こそ聴く!LED ZEPPELIN ファーストアルバム徹底解説:時代背景、名曲、盗作問題まで。

レッドツェッペリンのファーストアルバムを改めて聴く ギターのこと

私的レッドツェッペリンの捉え方

この春に初めたブログ。ちょっとシリーズものをやっていこうかと思い考えたのがLED ZEPPELINについて書くことです。

40年以上、私の人生のサウンドトラックであり続けているLED ZEPPELIN。彼らの音楽は、単なるロックバンドという枠を超え、私にとって一つの『音楽ジャンル』そのものです。その原点であり、全ての始まりとも言えるのが、1969年1月にリリースされた衝撃のデビューアルバム『LED ZEPPELIN 1』。今回は、長年のファンとしての熱い思いを胸に、この記念すべきファーストアルバムを改めてじっくりと聴き解き明かし、その魅力と秘話に迫りたいと思います。

2025年秋にはドキュメンタリー映画「レッドツェッペリン:ビカミング」の公開も控える今、改めて彼らの足跡を辿る絶好の機会です。しかし、一方でジミー・ペイジが「Dazed And Confused」で再び訴えられているというニュースもあり、複雑な心境であるのも事実です。

それでも、このファーストアルバムが持つ革新性、エネルギー、そして何よりもバンドとしての強烈な個性は、色褪せることなく今も私たちの心を掴んで離しません。

今回は、単なる懐古趣味ではなく、このアルバムがなぜこれほどまでに重要なのか、その音楽性、時代背景、そして避けて通れない盗作問題まで、深く掘り下げて考察していきたいと思います。

まず、大前提としての自分のなかでのLED ZEPPELINというグループの捉え方を書いておきます。zepについてよく言われていることは「ハードロック、ヘヴィメタルを生み出した」的なことだと思います。私も10代の頃は、そんな感じで捉えがちでしたが、少し違和感も感じていました。

ロックバンドであることには違いない。でもアルバムの中にいろんな音楽の顔を見せてくれる。それは、ブルースであったり、ファンクであったり、フォークであったり、エスニックであったりする。

でも、その音は間違いなくzep印なんですね。あるときからLED ZEPPELINという「音楽ジャンル」なんじゃないかなと考えはじめ、それが不思議と自分の腹に落ちたのです。ビートルズも同じ。ロックバンド言えばVan Halenにも同じようなイメージを持っています。

LED ZEPPELINというジャンル。おじさんになってもそれは変わらず持っている捉え方です。 だから40年以上ずっとファンであり続けたのだと思います。

LED ZEPPELINファーストアルバムについて

LED ZEPPELINのという名前になる前に、彼らは1968年スカンジナビアツアーに出ています。ニューヤードバーズという名前でした。ご存じ方も多いと思いますが、ジミー・ペイジはヤードバーズというバンドに在籍していました。そのグループは、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックも在籍していたグループ。メンバーがペイジ以外みんな辞めてしまって崩壊。でもツアーの契約残ってるし、どうしようか?となり、ペイジはスタジオミュージシャンでよく知っていたジョン・ポール・ジョーンズを誘い、ロバート・プラントも誘って、プラントの推薦でジョン・ボーナムを加入させて何とか契約していたツアーを行いました。このあたりのことが映画「レッドツェッペリン:ビカミング」で詳しく知ることができるのでは?と勝手に思っています。

アルバム自体は1969年1月リリース。たった36時間でレコーディングされた作品です。メディアの評価は最悪だったようですが、とにかくライブをどんどん行いファンを獲得し、評価を覆していったとの経緯があります。

もともと英国のエンターテインメント紙は非常に辛口なことが知られていますし。そんなもんでしょう。

1960年代の欧米の音楽現象といえばブリティッシュ・インヴェイジョン。(80年代にも起こりました)英国のバンドなどが大挙して、アメリカへわたり大成功をしていったのです。もちろんその核となったのはビートルズ。

ビートルズはリズム&ブルースを基にしたロックンロールから、いわゆるロックへの扉を開いたバンドです。商業的には圧倒的な成功を収めていますし、ビートルズの音楽性の広がりは、おそらくペイジなどのミュージシャンたちも可能性を感じていたのではと考えられます。

1960年代後半にはクラプトンを中心にしたCREAM、ジェフ・ベックのJeff Beck Groupなどギターサウンドを前面に押し出したバンドが登場し、ハードなロックというジャンルを築いていきました。ライブでは、インプロビゼイション(即興演奏)が注目を浴びていった時代でもあります。(ジャズでは当たり前のことでしたが)

ツェッペリンファーストについて細かく私的解説・考察

・これがLed Zeppelinサウンドだ!という意思表明、カタログ的な位置づけの作品。

・サウンドづくりの経緯は、ペイジが近年英国の大学で語った講演、インタビューによるとスタジオ・ミュージシャン時代に多くのセッションの経験から、ギターのいろんな音を重ねたロックサウンドを作ろうと決めていたとのこと。ちなみにペイジは多くの曲をアコースティックギターでまず作っていきます。

・アルバムジャケットは、飛行船のツェッペリン号が炎上している画像。グループ名LED ZEPPELINのLEDは鉛を意味するleadから変化させた名前。ツェッペリンは飛行船の名前。つまり鉛の飛行船。飛ばない=実際に飛行船が炎上している画像を使ったブラックユーモアでしょう。でも裏ジャケットに4人メンバーがしっかりと写真で載せられている。まっすぐにアルバムを手に取るものを見据える4人は、デザイン写真というよりも確信に満ちた証明写真かのようです。表ではちょっとブラックなユーモアを聞かせながらも裏ジャケではこれからやるんだという決意が感じられます。

・アルバムの収録曲は、ギターリフのロックサウンド、アコースティックギターの曲、光と影のドラマチックな展開の曲、そしてブルースを前面に押し出した曲、エスニックな曲など以降のzepサウンドの核となっていった要素がすべて詰め込まれています。

曲目ごとに紹介・考察

M-1 GOOD TIMES BAD TIMES 

強烈で印象に残るギターリフで始まる曲。まさにこれが自分たちの音なんだ!と知らしめる勢いを感じます。ジョン・ボーナムのバスドラム頭抜き3連符の連続は、今でも注目を集めるテクニックです。私もギター練習してました。2007年ロンドンO2アリーナでの再結成ライブのオープニング曲でもありました。あの時は、1曲目絶対これだと思ってました。だって「ロックンロール」だと当たり前すぎるでしょ?

M-2 BABE I’M GONNA LEAVE YOU

アコースティックギターのイントロが美しい楽曲ですね。静から動へ。天国への階段というロック史に残る名曲の構成はこの時から芽生え始めていたのです。サビでのプラントのボーカル激しさがすさまじい。しかし、トラディショナル曲と思ってカバーしたら1962年にジョン・バエズという女性歌手が歌っていた曲。ジョン・バエズも実はカバーで1950年代にアン・ブレナンという歌手が発表していた楽曲。(ただ、どうも昔からあるフォークソングで作者は不明のようです) PinkやMylie Cyrusなどがライブでカバーしています。

M-3 YOU SHOOK ME

ブルースのマディ・ウォーターズの楽曲。ウィリー・ディクソンの作詞。zepカバーです。zeppelinはウィリー・ディクソン関連は結構多いですね。ロバートプラントのブルース節が炸裂。他人の曲であっても自分たちのアレンジで自分たちの曲のように見せる。彼らはそれがとてもうまかったのです。

M-4 DAZED AND CONFUSED

わたくし聴き始めの頃はこの曲は嫌いでした。暗い感じがして。ギターのハーモニクスが何とも怪しくて。。。ですが、ギターを本格的に練習し始めたころから、よく弾き始めた曲です。ベース音の下降フレーズが印象的。ジョン・ポール・ジョーンズの目立つ曲!よかった!ジョンジー。しかし、この曲はジェイク・ホルムズが1967年に発表した同名の楽曲を基にしています。ヤードバーズでも「I’m Confused」というタイトルで演奏されていましたが、さらにアレンなどを煮詰めてファーストアルバムに収録。ジェイク・ホルムズからは2010年に訴えられましたが和解(お金とクレジットで解決)。しかし、今年ドキュメンタリー映画の公開があり、再度訴えを起こされました。楽曲の歌詞は全面的に書き換えられていますが、イントロの下降していくフレーズなどはそっくりなので、パクったと言われて仕方ない気もします。しっかり解決してもらいたいものです。

M-5 YOUR TIME IS GONNA COME

ジョン・ポール・ジョーンズのオルガンから始まる印象的な曲。歌詞は不貞をした女性に対する内容でちょっと重い感じ。でもコーラスは明るくみんなで合唱!というどっちなんじゃいという曲。ボーナムのドラムが際立つ。なんと1969年にサンディ・ショウという歌手によってカバーされています。初のzep曲カバーとなりました。

M-6 BLACK MOUNTAIN SIDE

ペイジ独特の6弦からDADGADというオープンチューニングで弾かれている曲。エスニックなサンドが特徴。zep後半からはヤードバーズ時代のホワイトサマー~ブラックマウンテンサイド~カシミールへという流れがライブ演奏されていました。私も弾いてましたがなかなか難しい曲です。ペイジはアコースティックギターはとてもうまいんです。

M-7 COMMUNICATION BREAK DOWN

リフ一発のロックナンバー。サイケデリックペイントのフェンダーテレキャスターで弾いているイメージがあまりにも強い。初期のライブではよく披露されてましたが後半からはあまり演奏されていないのでは?でも代表曲ではあります。

M-8 I CAN’T QUIT YOU BABY

こちらもウィリー・ディクソンの曲です。1950年代にオーティス・ラッシュ(ブルースマン)がヒットさせました。最後のアルバム「CODA」ではライブバージョンを聴くことができます。

M-9 HOW MANYMORE TIMES

前曲からそのまま続く感じで始まる曲。この曲もリフがメイン。初期ライブではこの曲でメンバー紹介をしていました。DAZED AND CONFUSEDとペアの曲という感じがします。弓パートもあるし、静と動がはっきりしている構成もしかり。

LED ZEPPELIN1のサウンド

生々しい音。それほど楽器を重ねていないことからライブでの演奏を考えての制作だと考えられます。やはり、ボーナムのドラムとジョーンズのベースによる下支えが楽曲構成の肝。ボーナムのグルーブはほんとに他では替えの利かないものだとファーストアルバム聴いただけでわかりますね。

あと、録音。ペイジは、セッションマン時代にエンジニアに「これはどうやって録音しているの?」とかマイクの使い方をよく尋ね勉強していたとインタビューで語っていました。それが自分のバンドで活かされ録音状態の良い作品が生まれた。同時代の有名グループでもあまり録音状態のよくない作品は結構多いですからね。

LED ZEPPELIN ファーストアルバムは、音像が一塊になってガツンとくるような作品。飛行船も熱で燃えちゃうほど、エネルギーほとばしるアルバムです。ボーナムの破壊的なドラム音が気持ちいい!

未体験の方はぜひ一度。

「レッドツェッペリン:ビカミング」公式ウェブサイト

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